76人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
新しい学校ではうまくやっていけた。
平均的に、元の学校より偏差値が高く、休み時間に教科書を見ることも多かった。
歴史の教科書を捲っていると、戦時中の兵隊の写真が載っていた。
あのクローゼットから3階に来た男の服と、どう見ても同じなのである。
恥ずかしながら、私は兵隊は皆一様に、現在の自衛隊のような迷彩服なのだと勝手に思っていたのである。
あの男は兵隊だ。
作業服ではなく、あれは軍服だ。
思い出すだけで、芋づる式に勘が働く。
あのカセットテープで遊んでいた時に流れた歌。
あれは合唱じゃない。
軍歌だ。
そうか…。
兵隊ならさぞ、水に執着してもおかしくない。
喉が渇き、そのまま亡くなったのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!