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第一話『魔王城の執事A』
僕の名前はショウ。
半年前にこの異世界に飛ばされてきた。
そして残念なことに、転生ボーナスは一個もなしだった。
魔法も使えないし、力も強くなっていないし、伝説の剣も持っていなかった。
大変残念だ。
神様これはひどいのではないでしょうか。
と僕はその時思ったものだった。
そして、それだけではなかった。
僕はほぼ人間の姿のまま転生した。
ほんとだったら、町人Aとかになるはずだと思う。
なんとなく町で一生を終える町人Aに。
『ところがそうではなかった』
そう、僕が今いるこの場所は、人間の街ではない。
美しく綺麗な城。
僕はここで紅茶を入れていた。
「何をぼーっとしておるのだ?ショウ?」
と透き通った声で話しかけられた。
その声の主がこの世界の魔王なのだ。
「は、すいません、少し考え事をしていて」
と僕は、魔王に、もっと詳しく言うと美少女魔王に返答した。
そう、つまり、ここは魔王城。
僕は、魔王サマに使える。執事なのだ。
そう、町人Aではなく。
魔王城の執事Aなのだ。
人間なのに。
「考え事とは、なんだ?」
「はい、魔王サマと初めて出会ったことを思い出していたのです」
と素直に魔王サマの問に答えていた。
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