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禍々しい装飾が施された大きな玉座に座る、大きな影。
「よくぞ、ここまで辿りついた勇者よ。
敵ながら天晴れだ、褒めてつかわそう」
大きな影は立ち上がり、対峙する青年に拍手を贈る。
「だが、残念だな。
ここまでたどり着いたにもかかわらず、我が身に傷一つ負わせる事無く、自分の非力さを
嘆きながら死ぬのだからな」
「どうかな」
青年のその身を飲み込もうとまとわり付く影、
だが身に付けた鎧が光り輝きだし、影を打ち消して行く。
「そうか、伝説の武具をその身に纏うか」
「今日が貴様の最後だ、魔王!」
ドワーフに鍛えられし、炎、水、土、風、光、
そして魔王が使う闇の力、それら全てを司る精霊の力が込められた伝説の剣、その剣先で
魔王を指す。
「そんな剣で我が滅されると思うな!」
勇者を迎え撃つ、その両手に込められる闇の奥の潜む、絶望。
その力は魔法となり破壊を創造す、最強の魔法として存在する。
「死ぬが良い、勇者よ!」
黒い大きな炎が勇者の身を包む。
「ハハハハ!」
魔王の高笑いは木霊する中、燃え上がる炎に映る人影、ボロボロになりながらも勇者は炎の中を駆け抜けると魔王の大きな姿を剣で両断する。
「なに、バカな…、この私が…滅ぶだ、と」
負った剣傷から溢れ出す神々しき光が四方八方の飛び散り、夜空に幾千もの星となる。
魔王の影響によって夜空は漆黒の闇だった。
しかし、今は月が照らし、星達が輝いている。
夜空を見上げ国中の民がこの時知った…。
魔王が滅んだのだと。
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