1685人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、みのり」
「ん?」
「あのさ」
グラウンドを見つめたまま、アリサちゃんがそう言って話し始める。
「隼人と、うまくいってる?」
「えっ?あぁ、うん。いってる…と思う」
「そっか。でもさー、何か隼人、最近元気ないんだよね」
「えっ?」
「学校ではいつも元気だよ?みのりといる時も、多分いつも元気に笑ってると思う」
「うん…」
「でも、最近家の前とかで会うといつもため息ばっかついてて。全然笑ってなくて…あいつ」
アリサちゃんの言葉に何故だか胸がキュッと締め付けられていく。
「あんなあいつ見たの初めてでさ…何か、ごめん。言わずにいられなくて」
アリサちゃんはそう言うと、少し黙り込んで。
だけど言いにくそうに、また口を開く。
「私がこんなこと言うのは間違ってるって分かってるんだけど。もし隼人のこと好きじゃないなら…早いことフッてあげてくれないかな」
「えっ…」
「違うならいいの。みのりも好きで付き合ってるなら全然いいの。ただ、もしそうだとしたら、どうせ傷つくならその傷は浅いうちの方がいいと思うんだ」
どうしてだろう。
何で言えないんだろう。
そんなことないよ、好きで付き合ってるんだからって。
どうして答えることができないんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!