あの青い空の下で…

決断

「俺に推薦…？」

思わず声に出る。

「あの、なんで俺なんかを推薦してくれたんですか？」

翔は懸命に興奮をおさえて聞く。

「俺そこまで上手くないのに…｡」

大石はそんな翔を見て一つ息を吐いて口を開いた。

「確かに、君は抜群に上手いと言う選手じゃないかもしれない。でもね…、君は他の誰も持ってないものを持っていた。｣

｢勝ちたいという気持ち。今の高校野球にもそんな強い気持ちを持っている選手はそうはいない。自分はそこに惹かれたんだよ。君ならきっといい選手になれる。｣

大石は優しげな笑顔を浮かべる｡

｢そして君は本当の実力を知らない。うちなら君の埋もれた才能をもっと引き出せる、そう思ったんだよ｡」

言葉が出なかった。

自分を見てくれている人がいる。

こんな自分を認めてくれる人がいる。

純粋に、本当に純粋にうれしかった。

「まあ、決めるのは君だ。じっくりと考えなさい｡」

そう言って大石は帰って行った。

その後、家の中が大騒ぎになったのは言うまでもない。