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朝、いつも通りの一日が始まる。
ただ少しすがすがしいのは、気のせいではないだろう。
「いってきまあす!」
玄関の扉を乱暴に閉めた。
いつもより少し早めに家を出る。
当然いつもより早めに学校についた。
こういう時だけ時間が遅く感じる。
続々と登校してくる人並の中を懸命に探した。
――……!来た!
そいつはゆっくりと玄関の中に消えた。
少しすると階段の角から現れる影。
「哲也!」
呼ぶというより叫んだ。
もちろん周りは多少引きぎみ…。
それでも気にせず翔は石田に近づく。
「なんだよ朝から…。お前周り引いてんじゃねぇかよ!」
「哲也…俺、野球続けるわ。」
石田の顔が一気に明るくなった。
「じゃぁ、お前桜都に…。」
石田の言葉を翔は遮る。
「だけど、お前とは敵になる。」
「……?」
「俺は絶対にお前を超えてみせるからな!」
翔はニヤリと笑みを浮かべる。
石田のキョトンとした顔を見納めて翔は教室に入った。
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