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「なんだお前、なんか悪いもんでも食ったか?」
「食うか!いいか真面目に聞けよ。桜都の先生が明日お前んちに返事を聞きに行くそうだ。だから返事決めとけ、だとよ。」
――んなこと急に言われてもな…。
もちろん、うれしくないって言ったらウソになる。
「なぁ翔。俺達また野球できるんだぜ。中学で果たせなかった夢があそこなら果たせるんだぞ。悩む必要なんかねえだろ!」
――確かにそうだ。迷う必要なんかない…。でも…。
「…哲也。俺桜都には行かない。野球はもういいんだよ。俺の夏は今年で終わったんだ。」
どうしてこんなコト言ったのか、いったいこの時なにを考えていたのか、全くわからなかった…。
ただ自然とこの言葉がでてきた。
何か言おうとした石田を軽くあしらって教室に戻った。
その後の授業、集中なんかできる訳がない。
休み時間。
クラスにいても楽しくない。
騒ぐ女子が今日はやたらうるさく感じる。
「翔!今日放課後ボーリングでも行かねぇ!?」
クラスの男子が笑いながら話かけてくる。
「あぁ~悪い。今日はパスで。」
「めずらしいな…お前が俺の誘に乗ってこないなんて…なんかあったか?」
「なんもねぇよ。」
「そっか。ん?ドコ行くんだよ?」
「トイレだよトイレ。」
そう言って翔は席を立つ。
廊下でふと立ち止まった。
――なんであの時哲也に素直に一緒に行くって言え無かったんだ…。
「しょ~~~~う!!」
そんな時に甲高い声が廊下を駆け抜けた。
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