葛藤

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「……おい。学校で名前で呼ぶの辞めろって言ったよな…。」 翔は嫌悪の表情を浮かべる。 「そぉだっけ!?まぁ、なんでもイイじゃん!」 ――いやいや、よくねぇよ。 空気くらい読めよ…。 ほら、変な目で見られてんだろ…。 翔はため息をつくが、伊藤はお構いなしに続ける。 「ねえ!そんなコトより翔、推薦来たってホント!?」 「……ッ!お前なんで知ってんだよ?」 「えッ…!?だって哲也君が言ってたもん。」 ――言ってたもんって…。 あのやろぉ…。 余計なコト言いやがって……。 「で、行くの?桜都?っていうか行くに決まってるよね!翔だもん!」 ――まただ…。 どぉしてコイツらは俺の事知ってるような口調で喋るんだ…。 「……なんだよそれ。誰が行くって言ったんだよ!俺は野球辞めたって言ったろ!どうしてわかってくれねぇんだよ!」 言ってから、しまったと思った時には遅かった。 ――またやった…。 伊藤の顔がみるみる青ざめていく。 「…ゴメン。」 顔を悲しげにして、走りさって行く伊藤を見ながら自己嫌悪に陥る。 ――本当にどうしたんだ、俺は…。 遠くなる背中を見つめた後、翔は舌打ちをした。
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