09 終焉のメロディ

1/15
22人が本棚に入れています
本棚に追加
/148ページ

09 終焉のメロディ

 ――とある地下室。 「……痛い」  ひとりの少年がうずくまる。  少年の名前は、藤村 優。  優しい子になりますようにと名前をつけられた。  優の胸をひとりの女の子が触る。 「いたいのいたいのとんでけー」  そういった女の子の名前は、ピノ。  年齢は4歳。  治癒の旋律を奏でる者だ。 「まだ痛みますか?」  全国ヒーロー協会の田中が心配そうに優にそういった。 「あ、はい」 「でも、その痛みは忘れないでください。  貴方が傷つけた子たちも同じように痛いのですから」  田中がそういってメガネをクイッと上にあげた。 「はい」  優の心の中に罪悪感があった。  いじめられていたとはいえ傷つけてしまえば、そのときはいい。  でも、後で来るのは後悔と罪悪感。  元々が優しい子になるように育てられたため、そういうものにも敏感だった。 「貴方は償わなければいけません」 「……はい」 「でも、貴方をイジメていた子たちも償わなければいけません」 「え?」 「だって、貴方を苦しめたのでしょ?  そのため貴方は暴走した。  関係ない人を巻き込んでしまいました」 「そうですね。  関係ない人を傷つけてしまいました。  それは申し訳ないと思っています。     
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!