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私達は、流産からずっとセックスレスだった。
航平も私も、それだけショックだった。
私は私で、ずっとこうすればよかったのかとか、ずっと寝ていれば助かった命だったのかもしれないと悔んでいた。
たぶん、私はいつも泣き出しそうな顔でいたんだと思う。
航平も私も一緒に暮らしていたけど、ただ、ご飯を一緒に食べて眠っているだけの同居人と化していた。
もう夫婦でもなんでもない。
航平も私の顔を見ればつらいんだろう。
一緒にいても会話もなく、お互いの顔を見ることもない。
こんなんじゃ別に暮らしている方がいいのかもしれない。
私は勤め先に体の不調ということで退職願をだした。
そして、航平が仕事に行っている間に、離婚届に印を押し、テーブルの上へ残してきた。
もうとっくに提出しているだろう。
航平からはなんの連絡もない。
本当にそれでよかったのかわからないけど、一緒にいてもつらい関係なら、別れた方がいいのだ。
航平は、子供っぽくて、好きなことには集中しすぎて没頭してしまう。
でも、嬉しそうにいろいろなことを教えてくれる、そんな表情が大好きだった。
単純で意地っ張り。
でも、すぐに私に甘えてくる。
そんなところも大好き。
今頃になって、かすかな後悔の気持ちがあることに気づいた。
けど、もう私達は元に戻れない。
きっと子供を失った私を許してはくれないと思うから。
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