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それで、ハッと我に返った。
“あぁ、あの白いモヤは、あのおじいちゃんの足だったのか?”
そう思った途端、僕から恐怖は一気に消え去って、落ち着いた。
むしろ、“なぁんだ、おじいちゃんか”くらいな感じになったね。
その日から、その白いモヤは毎朝表れるものの、別に何もする訳でもないので、僕は相変わらず、“おじいちゃん、今日もいるなぁ”くらいにしか思っていなかったんだけどさ。
その白いモヤ。
初めは気付かなかったけど、徐々に、少しづつ、形を成していくんだ。
徐々に徐々に……そう……『足』のような形に。
それとは反比例するかのように、僕の足は、妙に怠く、重く、時には痺れるようになっていった。
病院に行っても、原因不明。
正直、仮病を疑われるくらい、全く異常なし。
それでも、徐々に痛みも出て来て、新聞配達をするのも苦痛になってきていた。
僕は、あの白いモヤが足のような形になってきた事と、自分の足の異変が関係しているとしか思えず
“一体どうして?”
“なんで?”
“あのおじいちゃんに足はあったじゃないか!”
と、恐怖心より、怒りが増してきた。
それで僕は、非常識と分っていながら、学校帰りに、おじいちゃんのいた家に寄る事にした。
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