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「森の神? シルヴァヌス?
聞きおぼえないなぁ、あんま有名な神じゃない?」
「そうだな、どちらかというとマイナーな地方神だ。
だが、油断はするな、知名度と危険度は全く違うからな。」
「ああ、わかってるよ・・・。」
アルテミスのテメノスを過ぎた頃から、
周りの景色に異変が生じていた。
異変と言っても慌てて対処するようなものでもない。
気温が幾分下がって、
オレンジ色を基調としていた周りの風景が白みはじめていたのである。
「霞がかかっているのかな・・・?」
独り言めいたタケルの言葉に、科学者肌のデン・テスラが反応する。
「赤みがなくなっているってことは、
溶岩流も存在しないってことだろう。
単純に冷たい空気との気温差が、このガスを生み出しているのかもしれない。」
しかし、そうなると、気温やガスの説明はできるのだが、
光はどこから来るのだろう?
うすぼんやりとした光は、
霞の中を抜け出す事が出来ずに、世界一面に溢れている。
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