霞たなびく森

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  森特有のひんやりとした空気は地上と変わらないが、 草木の匂い、足もとの雑草・・・ 時折手を伸ばすと、がっしりとした太い樹木が、 これまた見た事もないような形の葉っぱをたくわえている。 意識するしないに関わらず、誰でもこの場での感覚は鋭敏になるだろう。 グログロンガやマリアは勿論、 タケルにしても、自分の耳に入ってくるわずかな音も聞き逃すまいと、注意を怠ってはいない。  「・・・滝の音だけじゃねーなぁ、  そこかしこの茂みの中からも時折ガサガサしてるようだぜ?  まぁ、大きさから言っても小動物だろうが・・・。」 その時、彼らの無線に雑音が入ってきた。 この地底世界に彼ら以外に無線を使う者などあり得ない。 先に行かせた斥候が通信を試みているようだが、操作に手間取っているような感じだ。 途切れ途切れに慌てているような音声が入る。  「斥候、どうした? 音声がよく聞き取れない。」 デンが冷静に対処するが、何やら異変が起きたらしい。  『・・・ジジ 底 し沼  一m・・・  ジジ 緊 う もう  れ・・・! 』 タケル達の顔色が変わる。 無線の音を間近で聞いたものは、すぐに何が起きたか理解できたようだ。  
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