1人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ
森特有のひんやりとした空気は地上と変わらないが、
草木の匂い、足もとの雑草・・・
時折手を伸ばすと、がっしりとした太い樹木が、
これまた見た事もないような形の葉っぱをたくわえている。
意識するしないに関わらず、誰でもこの場での感覚は鋭敏になるだろう。
グログロンガやマリアは勿論、
タケルにしても、自分の耳に入ってくるわずかな音も聞き逃すまいと、注意を怠ってはいない。
「・・・滝の音だけじゃねーなぁ、
そこかしこの茂みの中からも時折ガサガサしてるようだぜ?
まぁ、大きさから言っても小動物だろうが・・・。」
その時、彼らの無線に雑音が入ってきた。
この地底世界に彼ら以外に無線を使う者などあり得ない。
先に行かせた斥候が通信を試みているようだが、操作に手間取っているような感じだ。
途切れ途切れに慌てているような音声が入る。
「斥候、どうした? 音声がよく聞き取れない。」
デンが冷静に対処するが、何やら異変が起きたらしい。
『・・・ジジ 底 し沼 一m・・・
ジジ 緊 う もう れ・・・! 』
タケル達の顔色が変わる。
無線の音を間近で聞いたものは、すぐに何が起きたか理解できたようだ。
最初のコメントを投稿しよう!