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「今、底なし沼って言わなかったか!?」
その言葉を否定できる者はいなかった。
確かに、自分達が歩いている道は、落ち葉や枯れ草が積み重なり、
柔らかな感触を彼らに与えている。
だが、ここは「道」である。
何人もの人間や獣も足を踏み固めているであろう「道」のはずだ。
斥候がわざわざ道を離れ、底なし沼のある場所まで迷い込んでしまったというのか?
それとも途中、何かを見つけ、ルートから離れてしまっただけなのか?
無線を持つデンは、もう一度、無線を試みる。
「斥候! 繰り返す!
落ち着いて明瞭簡潔に現在の状況を説明しろ!!」
ジジ・・・ ジジジ
『・・・途中で隊員の一人がぬかるみに足をとられました!
ところが、そのうちぬかるみが突然、拡がり始め、その隊員のカラダを飲みこみ始めたのです!
今まで救助を試みていたのですが、
・・・残念ながら・・・たった今!
全身が泥沼に浸かり・・・!』
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