門との邂逅

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目を開けると少年は扉の前に立っていた。 辺りを見渡しても、濃い黒に塗り潰されているような闇が広がっているだけである。 不意に少年の鼻を刺激したのは、"ナニカ"が腐った様な悪臭であった。 少年は、焦点を目の前の扉に合わせる。 扉は木製のもので、錆びて変色したドアノブがついているだけだ。 今にも朽ちそうなそれは、存在するだけで異様な雰囲気を漂わせていた。 足元を見ると、扉の隙間から神々しい光が漏れ出している。 この空間での唯一の光である。少年は心にあった恐怖や絶望といったものを わずかながら払拭することに成功した。
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