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お兄ちゃんの横に座って、ただ花を見つめていた。
心配するお兄ちゃんに、何度も大丈夫って言ったけれど。正直、本当に大丈夫かなんてわからない。
「詩月――」
またお兄ちゃんが話しかけてきたと思った瞬間。陰が濃くなって、あたしもお兄ちゃんも振り向いていた。
「風邪、ひきますよ」
傘を差し出されて、お兄ちゃんは困惑する。
そうだ。お兄ちゃん、傘もささずに出てきたから濡れてる。
「お兄ちゃん、ごめん。濡れてることに気づかなくて」
大丈夫だなんて言えるような濡れ方じゃない。
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