198人が本棚に入れています
本棚に追加
――――
今も思い出す。最期の日。
あたしは病気で、その日がいつかはくるって思っていた。思っていたけれど、それは突然やってきた。
中学生なのに制服はほとんど着たことがなくて、それが悔しいってお兄ちゃんにぼやいたことがある。
きっと、そんなあたしのために用意してくれたんだよね。
気を失って、1度だけ目覚めたあたし。
布団の上に掛けられた制服。
みんなの笑顔と涙。
まるで卒業式みたいだなって、勝手に想像していた。
次に寝たら、きっともうお別れなんだろうなって。
だから、本当は喋りたかった。
ちゃんと伝えようとしたんだよ。
最初のコメントを投稿しよう!