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『お兄……っ』
でも、駄目だって思いとどまった。
お兄ちゃんを縛り付けるなんて出来ない。あたしは死んでも、お兄ちゃんはこれから生きていく人なんだから。
あたしは、言葉を飲み込むしかなかった。
だけど、今回だけは言わせて。
ねえ、お兄ちゃん。あたし、こんな姿だけど言わせて欲しいの。
「ねえ、お兄ちゃん」
椅子に立って、真新しいロープを首に巻き付けるお兄ちゃんをあたしは睨んだ。
「なにをしてるの?」
見事に固まってしまった兄は、あたしを見てはいるけれどかなり動揺している。
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