ただいま、お兄ちゃん

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――――  やっと落ち着いたお兄ちゃん。  でもやっぱり信じられないみたいで、泣き止んだ後は無言。 「お兄ちゃん、詩月です」  話しかけてみる。  お兄ちゃんは様々な場所をつねり始めた。 「いやいや、ほっぺつねっても夢じゃないし、お兄ちゃんもおかしくなったわけじゃないからね?」  なぜかあたしまでつねられた。 「痛……くは、ないみたいよ?」 「マジか! 幽霊に触れる! つーか、寒っ!! いや、おかしいから。おかしいからっ!!」  ドアの向こうに姿を消してしまったお兄ちゃん。   「待ってよぉ」  実はあたし、今動けない。  お兄ちゃんにだけ姿が見える魔法みたいなのをかけて、この部屋に来たんだ。  まさか自殺する瞬間だとは思わなかったけれど。
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