*21*園部side

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午後7時…。 今日も特に問題なし。 “一杯やってこーよ!”と雅文が騒ぐのを聞きながら、コートを羽織る。 「おでん!日本酒!」 「おれは焼き鳥!ビール!ソノは?」 ビールは寒いだろ…と、心の中で突っ込んで、 「オレは………」 と食べたいものを考えていると、 コンコン…… 事務所のドアをノックする音で思考がピタリと停止した。 「あーい」 多田野さんが気の抜けた返事をしてドアを開けると、 「こんばんは…」 寒そうに肩をすぼめた彼女がそこに立っていた。 「久しぶりー!元気だったー?」 「ふふ…元気でしたよ!って、会わなかったのはたった1ヶ月じゃないですか!」 「たった1ヶ月じゃないんだよねー…あいつの場合」 そう。 貴女にとっては“たったの1ヶ月”だったとしても、オレには何十年にも思えるくらい。 右…左…右…左…と意識して足を動かさないと、ちゃんと前に進めない。 「もう帰るところでしたか?」 彼女がオレを見て声をかけているんだけど、首を横に振るので精一杯。 「今日は…どう…したの?」 中に入りなよ、とか寒いのにわざわざ来てくれてありがとう、とか 会いたかったよ、とか 気の効いた言葉も出てこないほどに心臓が激しく高鳴る。 「お仕事の依頼…を…しに来ました」
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