1人が本棚に入れています
本棚に追加
…一体の骨が半ば土に埋もれながら木の根元にいた。
その服装からなんとなく女性ということは察しがついたが、それ以上のことはわからない。
「おい、いつまで見ているんだよ。よんだ警察がもうすぐ来るぞ!」
そうして、友人の叫ぶ声に俺は顔を上げると周囲を見渡した。
そこは、ちっぽけな山のキャンプ場。
そこから数メートルも離れていない森の入り口である。
どうしてこんなところに人の骨が、それもこんな目につくようなところにずっとあったのだろう…疑問はどこまでもつきないが、とにかくこの場を離れようと歩き出す。
…そのとき、ぽたりと何かが肩に落ちる。
見ればそれは一本の小枝であった。
俺はそれを軽くはらいのけると、キャンプ場へと顔を向け…そして違和感に顔を歪める。
そこは、うっそうと木々の生い茂る森の中だった。
暗い森の中、むっとするような熱気と草の匂いが鼻をつく。
なんだここは、どうしてここに…?
そうして俺は思い出す。
この場所が心霊スポットで有名な場所であったこと、森に入った人間は二度と戻って来られないことに…。
そのとき、もう一度肩に枝が落ちてきた。
しかし、その感触はまるで俺の肩に手を置くように感ぜられた…。
最初のコメントを投稿しよう!