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ネームに詰まった読子は座敷に寝転び、頭の上には描きかけのネームが散乱する。
自営業なので時間はあるとは言えこうなったら筆が止まってしまう。さて、気分転換に店に出るかとゴロゴロと転がっていた読子はふと少女と目が合った。
「これ、お姉さんが描いたの?」
少女はネームに描かれていたジェームスの絵を見て読子に尋ねる。起き上がった読子は頷くと、少女に近づいた。
「アナタは絵が好きなのかしら? それともブラバトの本でも探しているとか」
ブラバトとは読子が描いていた作品「ブラッドバトラー」の略である。耽美な男同士のシーンがあるため女子人気の方が高く、ティーンズ女子向けのグッズ展開をしているため、読子は少女もファンなのかと聞いたのだ。
「いいえ、知らないです。ウチでは漫画は禁止されているので、この手の話は疎くて」
「そうなの? 受験勉強の追い込みかしら。最近は中学受験も流行っているって言うし」
「確かにわたしも小六だけど、そういうわけじゃないです。昔から漫画なんて読んだらバカになるって禁止されているだけで」
「それは大変ねえ。じゃあ今日は、お忍びで立ち読みに来たというところかしら」
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