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「お姉さんもお察しの通り、中学受験向けの参考書を探しに来ただけです。ここにいると言うことはお店の人なんでしょ、場所を教えてもらって良いですか?」
「ちょっと待ってね───」
読子は眼前の少女を見つめた。
口では興味がない、興味がないことが当然と言わんばかりの彼女だが、読子の絵に目を輝かせる様子は見るからに漫画というものに興味津々に見えるからだ。
他人の家の教育に口を出すのは悪いとは言え、読子のやり方としてはこの手の禁欲なんてろくな事がないと思っている。
だから少しくらい教えても良いかなと、読子は少女に手をさしのべた。
「その前に一つ聞いても良いかしら?
アナタの家で禁止されているのは漫画だけ?
それともアニメとかゲーム、ラノベとかも含めてかしら?」
「小説は許してくれるけれどゲームとラノベはダメね。アニメも小三くらいから禁止されたわ。歴史小説なら結構読んでます」
「やっぱりかあ」
少女の話を聞いて読子は彼女の親を典型的な禁欲を強いるタイプだと判断した。
この手の親に育てられた子はどこかこじらす人も多い。知らぬなら見過ごすだろうが、こうしてふれ合ってしまった以上は見過ごせないと、読子は彼女にあるモノを進める。
読子は売れ筋の参考書と合わせて、一冊のノートを少女に手渡す。
「あの……このノートは?」
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