第2章 不気味な訪問者

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どれ程の時間が経ったのだろうか、部屋の 中は真っ暗だ。 ゆっくりと上半身を起こしながら、大きく 息を吐いた。 室内は、ノートパソコンのディスプレイ だけが明るく灯っている。 デジタル時計を見たところ、午後8時を 過ぎたところ。 立ち上がって室内灯を点けると、今度は 息を呑んだ。 ユリアの死体が無い! 「ユリアは? 坂崎ユリア!」 どう眼を配らせても、 遺体どころか部屋の中には争った跡が 無い、綺麗に整理整頓されている。 幻だったのか・・・それとも悪夢? 頭がぼんやりとしたまま、夢で良かったと ホッとする。 良く考えれば今までの出来事が馬鹿馬鹿 しくなり、思わずほくそ笑んでしまう。 キッチンルームに行くと、包丁も元の位置 に保管されていて、誰かが触った 形跡もない。 とてもリアルな夢、ケトルポットから 紙コップコーヒーにお湯を注ぐ。 「こんな時は、一杯のコーヒー」 徐々に落ち着きを取り戻していた僕に、 さらなる仕打ちが。 何気無くパソコンのディスプレイを 眺めていた僕はある事実に気づく。 気象アプリを観ると、今日は一滴も 雨が降っていなかったのだ。 「こ、これは・・・幻の雨!」 (チャラーン) メールの着信音が鳴り、直ちに開く。 ・・・そこには・・・ 『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね ユリア』 (終)
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