第2章 不気味な訪問者

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いよいよ外では、バケツをひっくり返した ような暴風雨になっている。 可哀想にずっと外にいたのであろうか、 頭から足先までびっしょりと濡れていて 肩まで伸びた髪の毛の先から、幾つもの 雫が滴り落ちていた。 しかし、娘はそんな事におかまいなく 不気味な笑みを浮かべている。 「中に?」 僕が聞くと、強引に室内に入り込んで 来た。 よく見てみると、少女は裸足だ。 なんとなく、不気味を通り越して 恐怖さえ感じる。 ユリアはリビングルームに直行し、 そこにある椅子に座った。 リビングルームには、小さめのテーブルを 挟んで2つの椅子が置かれてある。 僕も突然の事に戸惑いながらも、毅然と 対応することを決心した。 2人がテーブルを挟んで椅子に座り、 対峙した。 そして、持ってきた真っ白なタオルを 彼女に渡すと、ゆっくり頭を拭き始めた。 「ありがとう」 彼女が、弱々しく呟く。 「先程のメールは、貴方ですか?」 ユリアが小さく頷く。 「僕が坂崎さんから借金したというのは どういう事ですか?」 『それは・・・全部嘘です』 僕は思わず溜め息をつきながら、ホッと 胸を撫で下ろした。 「悪い冗談はやめてくださいね、 何故ウソを?」 『寂しくて・・・つい構って欲しくて』 「それなら、最初からそう言えば いいじゃないですか」 『・・・ゴメンナサイ』 彼女は俯いたまま小声で呟いた、それを 見た僕は安堵の吐息が漏れた。 俯いた彼女が、可愛く見える。 「何処から来たの?」 唐突に訊いてみた。 『星丸小学校・・・です』 「星丸小学校!」 この学校は、僕の母校だ。 「君の学校も、星丸小学校?」 ユリアが小さく頷く。 「家はどこ?」 捲したてるように質問すると、 いつの間にか彼女の顔色が土気色に。 それを見た僕が。 「大丈夫?なんだか顔色悪いけど」 『あなたは、私の事覚えていませんか?』 突然の彼女の問いに、たじろぐ僕。 『私は小学3年の時、貴方に歩道橋から 突き落とされました』
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