0人が本棚に入れています
本棚に追加
一、紅い靴
次の日の学校。
昼休みの武道館。
俺は柔道場に来ていた。
ここでも毎日、明境会のメンバーで、対龍海中柔道部の稽古をしたっけな。
毎日愛氣と一緒だった。
俺は五十畳ほどの畳の真ん中に寝ると、天井を見上げる。
あいつは今頃どうしてるんだろう。
もう昼ごはん食べたころかな?
稽古サボりまくってるから全然様子もわからない。
次の稽古日に、ちょっと道場行ってみよっかな。
でも、道場の側に行くと、愛氣が血を吐いた姿が思い出されて来て、いつも引き返してしまうんだ。
愛氣……。
死んだりなんかしないよな。
俺は柔道場を出て武道館の出入口に来た。
ウチの中学も龍海中ほどじゃないが、一応柔道場と剣道場はある。
中央の中通路を隔てて、隣同士に二つの武道場が並んでいるんだ。
柔道は体育でたまにやるから、柔道場には入ることがあるけど、剣道場は入学してからまだ入ったことはない。
剣道部にでも入らない限り、これからも中に入ることはないだろう。
靴箱から自分の靴を取ろうとする俺。
赤いスゥエードのコンバースのワンスターを履く。
履く……。
あれ? 入らない。
おかしいな。
最初のコメントを投稿しよう!