第十四章 見えない明日(あした)

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一、紅い靴  次の日の学校。  昼休みの武道館。  俺は柔道場に来ていた。  ここでも毎日、明境会のメンバーで、対龍海中柔道部の稽古をしたっけな。  毎日愛氣と一緒だった。  俺は五十畳ほどの畳の真ん中に寝ると、天井を見上げる。  あいつは今頃どうしてるんだろう。  もう昼ごはん食べたころかな?  稽古サボりまくってるから全然様子もわからない。  次の稽古日に、ちょっと道場行ってみよっかな。  でも、道場の側に行くと、愛氣が血を吐いた姿が思い出されて来て、いつも引き返してしまうんだ。  愛氣……。  死んだりなんかしないよな。  俺は柔道場を出て武道館の出入口に来た。  ウチの中学も龍海中ほどじゃないが、一応柔道場と剣道場はある。  中央の中通路を隔てて、隣同士に二つの武道場が並んでいるんだ。  柔道は体育でたまにやるから、柔道場には入ることがあるけど、剣道場は入学してからまだ入ったことはない。  剣道部にでも入らない限り、これからも中に入ることはないだろう。  靴箱から自分の靴を取ろうとする俺。  赤いスゥエードのコンバースのワンスターを履く。  履く……。  あれ? 入らない。  おかしいな。  
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