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「布団敷いてる時間が勿体なくてな。前も言ったけど、買わないのか? ベッド」 「……買うか、この機会に」 「じゃあ、週末イオン行く? 車出すし」 「イオン一択かよ……」  言葉とは裏腹に笑いこぼすと、祥吾も同じように笑ってくれる。こんなことでも嬉しさが込み上げてき、ああ、自分は思っている以上に祥吾が好きなんだ、と実感する。彼とだったら、やたらに広いショッピングモールをだらだら回るのも愉しいかもしれない。  祥吾は朋紀の手の中からグラスを取り上げ、ことりとちゃぶ台に置いた。そして裸の身体を抱き竦めてき、厚みある胸板でのしかかってくる。朋紀は呆れてしまった。さっきまであれほど励んでいたというのに。 「またかよ……」 「この暑い中、他に何もしたくねえ」  かすかに地元なまりのある声で囁かれると、肩からふっと力が抜けた。何を取り繕う必要もない相手の肩に朋紀が腕を回すと、熱く湿った肌と唇とが降ってくる。 「ん、……」  あわいを割ってすぐに肉厚の舌が入ってき、朋紀のそれを探って捕らえる。麦茶で一時的に冷たくなっていた舌が、祥吾の温度にじわりと塗り替えられていく。  グラスの中で氷が、カラン、と小さく音を立てた。朋紀の身体もまた溶け出し、束の間、夏の長い午後の情事にけだるく沈み込んでいく。 (了)
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