第一章 オフィスの罠

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「足ります。  あと足りないのは、千八百万ですから。  それ以上はもう銀行が……。  懇意にしている方が頑張ってくださったんですけど」 「じゃあ、二百万はおまけだ。  釣りはとっておけ」  子供のおつかいの釣りにしては、でかすぎます、と思った。  第一、なんのおつかいもしていないし、自分を売る気もない。  そもそも、売ったところで、二、三万よりちょっと高いくらいと言われたのに、二千万はどうだろう。 「二千万でなんとかなるのか。  火に油を注ぐだけなら、此処で会社を畳むのも手だぞ」  こちらの事情は言わずともわかっているようだった。
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