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「失礼します」
頼まれた用事が終わり、書類を手に戻ってきた未咲は、ノックして、専務の部屋に入る。
一課の秘書の佐々木は今は居ないようだった。
「専務。
お使い終わりました」
と言うと、
「お使いってなんだ。
幼稚園児か」
と言いながら、智久は書類の入ったクリアファイルを受け取ると、眼鏡を外して、デスクに置いた。
未咲がそれをじっと見ているのに気づき、なんだ? と言う。
「いえ、最初に会ったときも、眼鏡かけてましたよね。
かけたり外したりしてるけど、老眼ですか?」
「……殺そうか」
思ったままを口に出すのは、そろそろやめた方がいいらしい、と未咲は思った。
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