1・ぴこんと電波受信オレのムスコ!

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でもそんなゴチャゴチャは、すぐに全部ぶっ飛んだ。 あいつの匂いを嗅いだ途端、細胞の中の目ん玉が、ギョロッと一斉に気付く感じ。 心が少しだけサイレンを鳴らしたけど、そん時はまだ、時期じゃなかった。 匂いにやられて一気に崩れたオレを、 ヨイショと背中に背負ったそいつが後ろを振り返った。 「 …部屋に連れて行く。 誰も来るな。 それとドアの隅を全部ガムテで塞げ。 鶴川屋の匂いを外に出すな」 「しょ、庄介さん…! そいつの右腕はあの薬師っすよ!? ちゃんと段取り踏んで納得させてからの方が…っ」 「そんなん待てるか。 薬師も運命にまでは勝てっこねえ。 絶対に邪魔させんな」 (  …薬師…) 「オレは運命なんてちっとも信じてなかったし、オメガとの政略結婚も納得してなかった。 …でも、たった今、それを、変える」 自分を背負うその声が、苦しそうに途切れ始める。 息を継いでいる。 ああ、こいつもかと、思うオレの息も浅い。 これが噂の運命かとどっかすてっぱちな自分と、 こんなん納得行くか!と反発する自分。 でもそれは、鶴川屋総長として格好付けたいオレが後付けした自分で、 本当の本当は、 早く入れて欲しくて堪らない、オメガの性と、本能。 ( …ああ、) こいつが運命か。 こいつが、オレのこっから先か。 こいつが、こいつが、オレの、半身だったのか。 ( …薬師…) オレの下、オレの運命の越後庄介が、低い声で唸った。 「…この匂いは、オレのもんだ。 お前ら、こっ、から少しでもっ、…っ嗅いでみろ… 指詰めるだけじゃ終わらせねえぞ!!」 .
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