1・ぴこんと電波受信オレのムスコ!

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... 抜いてちょっとすっきりしたオレはベルトを締めながら、 振り返らずに口を開いた。 「お前、いかせんのが遅すぎなんだよ」 「…すんません」 「そんくらいさっさとやれよ、アホンダラ。 急いでんのにオレで遊んでどうすんだよ」 「……」 何も返さない出来過ぎた若頭と一緒に仮眠室を出た。 すると視界に、事務所のドアを必死に抑え込んでいるゼンのデカい体。 「お、悪かったな、ゼン」 「そ、総長おおおおお」 「フジオさんの前で泣くな。 こんくらいいつもの事だろ。 いい加減慣れろ」 薬師がそう睨みをきかすとゼンが震え上がる。 オレはデカい薬師の背中を、ポンポンと二つ叩いた。 「まあまあまあ。 つうかオレの所為だしな」 「…フジオさん」 「よし、ゼン、離れろ。 どうせいつもの奴らだろ」 「フジオさん、軽めにお願いします。 抑制剤も打ったし、アルファ野郎の目を覚まさせるのは一発で十分ですから」 「わかってるよ」 「総長…」 「ゼン、いいから離れとけ」 口から残り香が漏れないよう息を止める。 いや、口から出てるんじゃないんだろうけど、 とりあえず何もかも隠すのが癖になってしまった。 .
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