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「…なんですかねえ、あいつらは…」
やっと落ち着き、事務所のソファのオレの定位置にドカリと座る。
ゼンが熱い緑茶を入れて来てくれた。
その眉毛が真ん中に寄っている。
「オレなんかは平凡なベータなんでわかんないんすけど、アルファっていや社長クラスじゃないすか。 なんで昼間っからあんなウロウロしてるんすかねえ、あの人たちは」
「社長になれるやつばっかじゃねえんじゃねえの?」
随分湯呑みを揺らして冷やしたつもりだったけど、口を近付けるとちょっと恐怖。
あっつい湯気がモアーッとオレの顔を襲ってきやがる。
「ゼン、お前これ、熱湯じゃねえか! 飲めねえぞ!」
「あ、フーフーします?」
「ふざけんな、氷入れてこい!」
「へーい」
やっすいアパートの二階のこの部屋は、風呂付便所付の1LDK。
もともとリビングも仮眠室も畳だったのを、土足でもいいようにフローリングに張り替えた。
何かあったらすぐ外へ出られるようにだ。
この建物にはセキュリティなんか何もない。
だからアルファ野郎がすぐに群がってくるけど、
ボロ過ぎて他に借り手のないところと、場所がシマの真ん中ってところがいいところ。
さっきみたいに騒ぎを起こしても、下や隣が居ないから案外大事には至らない。
ま、近辺住民には目を瞑って貰ってるけど、
代わりにこの界隈で悪さする奴らもいなくなったし、ギブアンドテイクは上手く行っていると思う。
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