332人が本棚に入れています
本棚に追加
心ん中で大きく息を吐いた。
ジクジクと焦る体が恨めしい。
「オレは今日はここで寝る。 ヨッシーにまっすぐ帰れって伝えとけ」
「…わかりました」
「ゼン! お前今度健康診断行っとけ! 太り過ぎだ!」
「へーい」
事務所から出ていく二つの背中を見送って、残ったオレは一度下を向いた後、
ゼンかヨッシーが取り付けたジャラジャラした暖簾をくぐり、奥のキッチンに入る。
冷蔵庫を開けて発泡酒を出し、プルタブに指を引っ掛けた。
その指が震えて上手く開かない。
「っくそ…っ」
オレは発泡酒を諦め、ポケットから抑制剤を取り出した。
必要な分量の二倍分を口に放り込み、それをペットボトルの水で流す。
フラフラと仮眠室に向かった。
ベッドの下奥に隠していた段ボール箱。
中から新しいオモチャを取り出した。
(…やべえ…)
本当はさっき、随分と我慢していた。
まさか薬師、気付いてねえだろうな。
.
最初のコメントを投稿しよう!