1・ぴこんと電波受信オレのムスコ!

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やっとのことで出した後、オレはそのままベッドに横になった。 クタクタだ。シャワーを浴びる気にもなれない。 家に帰ればよかったと後悔した。 ( …薬師に連れて帰って貰えばよかった…) 「……」 目の前の綺麗に洗濯されたシーツ。 誰が当番だったっけとそれを爪で引っ掻く。 こそばゆい音が耳に響いた。 薬師がオレに付けられたのは、親父が医者に余命宣告された後だった。 でも薬師の存在自体は随分前から知っていた。 親父が世話になった人の息子。 それしか知らないけど、小さな頃からちょくちょくうちに来てて、昔、五歳年上のあいつから遊んでもらったこともある。 (…あん時、初めて七並べを知った…) 薬が効いてきたのか、頭が段々はっきりしてきた。 重い体を起こす。 顔も上げずに風呂に向かう。 その足取りが、自分でもフラフラと頼りない。 親父が死んで、オレは21で跡目を継いだ。 本当は他の幹部が引き継ぐべきだった。 でも親父は死に際、オレを指名した。 薬師を付ける以前にも、親父はオレの傍に必ず有能なアルファを置いていた。 でも、アルファにとってオメガの発情期は越え難い試練。 アルファはオメガの誘惑に負ける。 手を出したアルファを親父は次から次へと破門にし、そのサイクルが薬師で途切れ、 そして親父が死んだあと残ったのは、薬師とゼンとヨッシーだけだった。 .
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