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そん時、オレはゴチャゴチャしてた。
発情期明けで頭が緩くなってたし、
じっちゃから色々言われてむしゃくしゃしてたし、
でもそんくらいでこんなんなるオレはやっぱ器じゃないのかって自己嫌悪に項垂れて、
だからって政略結婚ってどういうこった、オレが誰かの下につくとかありえるもんか、
って粋がってみても、もう他に手段はないってのも重々わかってて。
オレはそん時ゴチャゴチャだった。
だから一人で来てしまった。
薬師に隠れるようにコソリと来てしまった。
断るつもりで行ったそこは、二代目越後組のでっかい事務所。
…断ったらどうなんのか。
オレがこの見合いを受けねえと、いずれ可愛い子分らを路頭に迷わせることになるかも知んねえ。
先代時分から文句一つ言わずに付いてきてくれた、薬師、ゼン、ヨッシー。
オメガのオレを、ずっと体張って守ってきてくれたんだ。
だから今度はオレが、何があっても守ってやんなきゃなんねえんだ。
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