異世界で英雄になった僕は、平凡を偽装する予定だった

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 僕、岩朝瑠歌(いわさ るか)が異世界にやって来たのは僕が六歳の時だった。  その日はお天気雨の日で、空が晴れているのにふっている雨が綺麗で虹がかかっていて。 「虹のふもとには宝物が埋まっているんだ! よし、追いかけてみよう!」  そう思って僕は走って行って、それにあまりにも夢中になってしまっていたからだろう。  気づけば僕は見知らぬ場所に立っていた。  それまでは、アスファルトの地面と、ブロック塀に囲まれた住宅が並ぶ道を走っていたはずなのに、今は茶色の土の剥き出しの場所で、周りは木々に囲まれていて、そして。 「君は、誰?」  そこで僕は、恐る恐るといったようにか細い澄んだ声で問いかけられた。  振り返ると、そこにはヒマワリが咲いたのかと思うくらい、鮮やかな金色の髪が目に入る。  陽の光を浴びて、一本一本が金糸のように輝きながら風に舞い、瞳はまるでペリドットのように鮮やかな黄緑色に輝いている。  服装からは僕と同じ男だと分かるけれど、こんな綺麗な子を見たのは初めてだった。  男装の美少女だと言われても信じてしまいそうな程だった。  そしてその子は今、涙目になって僕を見ている。  どうしたのだろう、そう僕が思っていると、
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