潮騒が聴こえる

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どうやらわたしは彼の胃袋を掴んだらしい。 彼の目的はただそれだけだったかもしれないけど、わたしはそれでも小躍りしたいほど嬉しかった。 夏が終わっても来てくれるかもしれない。 その期待がわたしの胸を浮かれさせた。 だからわたしは、ある意味勝負に出てしまった。 海の家閉店の日の夜、海岸にある他の海の家と共同で、手持ち花火をみんなでするのがお決まりだった。 それに彼を誘った。 お祭りのようなものだから、気軽に来てくださいと。 もし来てくれたら、連絡先を交換してもらおうと 1人ウキウキする日が続いた。 もちろん、その間も彼はランチをしに海の家へ寄ってくれていた。 出会った頃はまだ色白だったのに、8月終わりの頃には随分日焼けしていたと思う。 海で遊んで行くわけでもなく、本当にただお昼休みに来てるだけ、という感じだった。 変わった人だなぁと思いながらも、地元はこの辺なのかもと勝手に想像して、それならすぐ会えるなって頬が緩んだものだった。 わたしに会いに、というのは冗談としてもカレーを食べに来てくれてるのは確かだ。それだけでも嬉しかった。
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