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時間がその辛さを埋めてくれてると信じてのことかもしれない。
僕もいい加減、吹っ切らないといけない時期なんだろうか。
忘れた頃に蘇ってくる、幸せだったはずの残像。
忘れないで、と言われてるかのようだった。
堤がくれたカードを見つめる。
最後のチャンスと思って行ってみるか。
これで何も取り戻せなければ、諦める。
キュッと口の端を引き上げて決意を固めた。
「……ありがとう、堤。行ってみるよ」
「あぁ。のんびりしてこい」
海、か。
耳の奥から突然、聴きなれた波の音がこだましてくる。
やはり何か、胸がざわつき出したのを感じた。
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