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何だろう。
僕はここに来ていたことがある気がする。
もう少しで思い出せそうな、まどろっこしい感覚に襲われたその時、
またもやズキンズキン、と激しい頭痛が僕を襲った。
ーーーー待ってくれ、もう少しで何か掴めそうなんだ!
痛みで頭を抑えてしゃがみ込みながら、僕は祈った。
目を閉じると浮かび上がる、微かな記憶。
あぁ、前にも見たことがある残像だ。
波打ち際で抱き合う、僕と彼女。
しっとりと重なる唇の感触……
「大丈夫、ですか?」
うずくまる僕の横から、恐る恐る声をかけてくる主がいた。
ハッとして薄っすら目を開けて声のした方を振り返ると
小学校低学年くらいの男の子が立っていた。
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