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行くと言ってしまったけど、はたしてそれは間違いではないだろうか。
そんな不安が胸に渦巻きながらも、僕は記憶にあるカフェへの道をゆっくり進んだ。
今更戻ったところで、彼女たちには既に生活の基盤が出来上がっていて、それに僕が入り込むなんて許されないだろうって思う。
どれだけ都合のいいやつなんだと思われて罵倒されてオシマイかもしれない。
会いに行くことが正解なのか、分からなかった。
会わないまま、僕はもう彼女たちの前から消えた存在として生きていくべきではないか。
彼女たちの生活を壊すことになったりしたら。
プラスに考えられる要素なんてまるでない。
強いていえば、勇輝くんが言っていたことくらいだ。
あれが今も有効で、本当だとしても、凪沙に恋人がいないとは限らない。
僕よりも若かった彼女は、ようやく30になった位だろう。
僕は結局、その後も湧いてくる見合い話を断り続け独身を貫いていたけど
彼女を生涯支えたいと思ってくれた男だって今までにきっといたんではないだろうか。
そこまで考えて、ギュッと拳を握りしめていた自分に気付いた。
ーーーー勝手なのはよく分かってる。だけど、
全てを思い出した今
僕以外の男が凪沙の隣にいるなんて考えたくなかった。
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