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凪沙の濡れる瞳の中に答えを探すように視線を絡めていると
彼女は徐に微笑んで口を開いた。
「おかえり」
全てを包み込んでくれるかのような、クシャッと笑うその顔に胸が突かれて、じわりと何かが溢れそうになる。
もう二度とこの手を離したりはしない。
僕の帰りたい場所は、ここしかないから。
「……ただいま」
何でもないこのやり取りが、僕たちには長い長い間、出来なかった。
こんな普通のことが幸せだなんて、昔なら考えられなかっただろう。
凪沙の頬に手をそっと添えて、その感触を確かめながら
僕は彼女に熱く深く唇を重ねた。
今まで離れていた分、辛い思いをさせてきた分。
一生をかけて
僕は君を愛し続ける。
~fin.~
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