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2017年6月
Oは突然会社をリストラされた。
上司である支店長の最後の言葉は、
「お前、運が悪かったな。。、」
支店長の名前はI【アイ】。
ここのところ、支店長Iとの折り合いが悪く、嫌な予感はしていた。
しかし、いきなり首を切られるとは思ってなかった。
最後の出勤日の夜、Oは後任のために、机の中を片付けていた。
Iは僕に言葉をかけるでもなく、
2時間ほど前にそそくさと退社してしまった。
どうせ、またいつもの飲み屋に行ってるのだろう。
机の片付けを終え、会社を後にした。
リストラされた悔しさよりも、
これからどうやって食っていけばいいのだろうか。。
その不安の方が大きかった。。
会社に置いてあった私物でパンパンに膨らんだ皮のショルダーバッグを肩にかけ、朝さしていたビニール傘を持ち、
下を向いて、とぼとぼと暗い夜道を歩く。
絵に描いたようなリストラされたサラリーマンだ。
田舎町のここでは、夜9時以降、人などほとんど歩いていない。
「Oじゃないか。」
突然声をかけられた。
頭をあげると、明らかに一杯飲んで気持ちよくなって、頬を赤らめている上司がいた。
見知らぬ男を連れている。
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