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あたしの突然の変貌振りに驚いたナルシストは腰が退けて、家来A、Bに支えられていた。 「そ、そうだったの?・・り、梨蘭 ちゃん・・・ごめんね」 ナルシストは何事もなかっように立ち上がると直ぐに乱れた胸元をもと通りに整えた。 「本当にごめんね。僕、無神経なこと言っちゃって。でも、さっき言ったことは本気だから、良く考えて返事してね」 は?・・ウ、ウィンク・・してナルシストは悠然と家来たちと共に屋上から出て行った。 なんなんだ・・・あのハ―トの強さは・・? あたしは屋上から出て行くナルシストの背なかを・・見つめてしまった―― 「梨蘭ちゃん、大丈夫?・・落ち着いた?」 あ・・恭丞の声で我にかえった。 「ハァ~びっくりした。綾小路先輩、殴らなくて良かったよ。あんなキレイな顔に傷でも付けたら、大変な事になってたよ」 乙夜がホッとしたように笑って、あたしの頭をポンポンした。 「・・ごめん」 実は、あたしは小さい頃から、母の方針で・・「女の子も自分の身は自分で守れるように」・・と、空手をはじめ合気道に柔術など、幾つかの格闘技を習得させらていた・・・腕前もかなりのものだった。 ずっと一緒にいた乙夜と恭丞、明日香はそれを良く知っている。 乙夜たちがあたしの親衛隊を結成したのは・・・本当はあたしを護るためじゃなくて、今みたいにあたしから被害を受けそうになった誰かを護る為に結成されたのだ。 その事実を知ってるのは勿論、三人だけだ。 今日のようなことは滅多にあることでは無い・・・そのことを良く知ってる二人は、何も触れずに屋上を後にした。
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