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あたしの母の生れた家はフランスでもかなり裕福な由緒ある名門の家だった。 母の父親は爵位をもち、広大な土地を所有し、そこに住む沢山の人達の生活を保障できる程大規模な農場を経営してた。 その他にも色々な事業を展開してて、なかでも葡萄園の収入が莫大で全事業収入の大半を占めていた。 その農園でできた葡萄でワインを製造して世界中に輸出する程、ワイン事業でも成功を納めてた。 母はその家の一人娘だった。母の兄弟は他に兄が二人いた。 母は割と自由に育てられ、日本人の父との結婚もすんなりと許されてなんの障害もなかった。 だが、一人娘の母にあたしが生まれた時、祖父はどうしてもあたしを祖父の手元に置きたいと無理難題を言ってきた。 どうやら、あたしは若くしてこの世を去った祖母にそっくりだったらしく、特に珍しいシャンパンゴ―ルドの髪色は祖父の大のお気に入りだったらしい。 祖父の要望を一時的に、受け入れた母はあたしが3才になるまで、母と共に祖父の元で暮らすことにした。 母はあたしが3才になったある日、父とあたしと母と三人で暮らす為に日本に帰りたいと祖父に申し出た。 祖父は日本に帰してくれることは愚か父との離婚を迫った。 それ以来、母とあたしは祖父により祖父の屋敷に監禁されてしまった。 ある時、隙を見て母はあたしを連れて日本の父の元へ逃げ帰った。 当然のことながら激怒した祖父は色んな手を使って母とあたしを連れ戻そうとした。 ・・その後、母は法的処置をとり祖父と絶縁した。 以来、あたしの家では母のフランスの家の話しや祖父の話しはタブ―とされ一切、口にしてはいけない事となった。 母があたしに武道をさせたのも母の知らない所で・・・あたしが危険な目にあうことを恐れてのことだったのだと思う。 この容姿だけでもあたしの内面的価値を軽視されがちなのに更にそれ以外の付加価値で評価が、変わることは腹立たしいこと以外・・・なにものでも無かった。 幼いころから、綾小路先輩みたいに事情を知らない人が、あたしに祖父の話しすることがあった。 その度にさっきみたいな態度をとってしまう・・・それを止めてくれるのがいつも、乙夜と恭丞だった。
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