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「梨蘭ちゃん、嘘だよね?ね?梨蘭ちゃん・・え~、ま、待って、待って・・・と、とにかく、とにかく落ち着こうよ!」
・・イヤ・・・あんたが落ち着こうよ。
綾小路先輩は綺麗に整えられた頭を両手でかきむしりながらパニクってた。
「嘘だ!嘘だ・・嘘だよね・・梨蘭ちゃん?」
先輩は目に涙を溜めてあたしを見てた・・・ここ迄のリアクションをされると・・少々罪悪感が湧いてきた。
「・・・・・」
あたしは、どう答えていいのか言葉に詰まってしまった。
「誰?誰なの?梨蘭ちゃんの彼氏って?ソイツと何時から付き合ってるの?・・せめて誰なのか教えて!」
先輩があたしに詰め寄ってきた・・うっ・・か、顔が近い。
「名前は?梨蘭ちゃん、せめて名前おしえて」
あたしの嘘で収集がつかなくなったこの状態に乙夜と恭丞がハラハラしてるのが後ろからヒシヒシと伝わってくる。
どうしょう・・・名前って言われても・・直ぐには思いつかない。
嘘をついたことを今更ながら後悔した・・・でも、もう取り消せない。
あたしは・・今にも泣き出しそうな先輩を前に・・・咄嗟に頭に浮かんた名前を口にしてた。
「ひ、ひ、ひいらぎ・・くん」
あたしが、その名前を言った瞬間、後ろにいる乙夜と恭丞が息を飲んだのがわかった。
「・・・へ?」
先輩に至っは固まっていた・・・暫く誰も話さなかった・・・へ?・・なに・・この沈黙は?
「り、梨蘭ちゃん・・僕の聞き間違いかな?今・・何て言ったのか、もう一度教えて・・」
「えっと・・私の彼氏の名前ですよね?ひいらぎくん――」
「柊木って・・・あの、まさか柊木伊織じゃないよね・・?」
ん?・・誰、それ?そんな名前の人いるの?
どこかで聞いたような名前をでたらめで言っちやったけど・・・まぁ、でたらめついででいいや・・・私は答えた。
「そう、その柊木くんです。・・たぶん」
「・・ほんとに・・ほんとに・・・あの柊木なの?」
どうせでたらめだ・・あのもそのも・・ない・・・あたしは無言で頷いた。
「イヤ――!」
綾小路先輩は余程ショックだったらしく乱れた髪を更にかきむしりながら悲鳴を上げて教室から駆け出してどこかへ行ってしまった。
綾小路先輩目当の女子の群れも慌てて先輩を追いかけて移動してった。
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