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綾小路先輩が あたしの教室に来なくなってから1週間が過ぎた。 先輩には悪いがあたしは精々してた。 あたしが言った嘘の噂を信じてか、廊下に訪れるギヤラリ―も心なしか減った気がする。 いっそ、このままギヤラリ―もいなくなってくれればいい。 乙夜と明日香は相変わらず休み時間の度にあたしのところへ来てた。 「綾小路先輩すっかり来なくなったね・・・梨蘭のでたらめな話し信じちやったんだね・・なんだか可哀相」 うっ・・それを言われるとほんの少しだけど罪悪感が湧いた・・・でたらめな名前の話しは忘れかけてたのに。 明日香は一人言のように呟いたあと直ぐに乙夜たちの話しに加わってた。 乙夜と恭丞が最近、受けた告白の話しに明日香が楽しそうに、なにやらチャチャをいれ出した。 ほんとこの二人こそ彼女がいないのが不思議だ――・・ん?・・まただ、最近、嫌な視線を感じる。 視線に慣れてない訳じゃない・・・羨望と憧れの目差しにはなんとも無いほど慣れてる。 でも・・ここ何日か感じる視線は明らかに敵意?・・悪意を持ったものが感じられた。 久しぶりの感覚だ・・・あたしは視線を感じる方へ目をやってみた。 ・・派手でもなく地味でもない・・・女子だ った・・・明きらかに敵意を持った目であたしを見てた。 あたしと目が合っても反らすことなく更に強い眼差しを向けられた。 あたしには・・そんな目でみられる覚えがなかった・・ただ・・あたしを嫌いなだけかも知れない。 あたしは・・彼女から視線を反らした。 あたしを嫌い・・・そういう人も割りと多い。 何もしなくても目立つ容姿は一人歩きする噂のせいで・・・あたしの知らないところで良くも悪くも評価されることはどうしょうもない。 羨望を受ける分・・・卑下もある・・これ迄、生きてきて学習したことだ。 「梨蘭ちゃん、ほんとに裏庭に行くの?」 「行くよ、恭丞、来なくていいよ」 「ダメダメ、梨蘭ちゃんを一人にしたら乙夜に怒られちゃうよ」 相変わらず煩いお目付け役だ・・・次の授業は自習だった。 ・・なんだか一人になりたい気分だった。 あたしは、なんとか恭丞の監視の目を逃れて一人になる方々を考えることにした。
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