王様のねこ

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 ジオは小声でボソボソと耳を倒したり起こしたり、視線を忙しなく空を彷徨わせた。王様が無事で悪い人も捕まって、それでも混乱して八つ当たりのように泣いた自分が恥ずかしくなっての態度だったのだが、ウォリックは萌えた。不埒で邪な気持ちゲージに日々ポイントが溜まって行く。ネコだろうが男の子だろうがコレは可愛い。子供だとセーブして成人として紳士たる態度でいたいのだが、いつ迄耐えれるか。 「ジオ」 「……なあに?」 「よし。後始末はルードに全託して今から散歩行くか。外に行くまではネコに戻れよ?」 「今から?今からなのー?」 「変装して町も森も行けるぞ」 「へんそう!」  目が丸々となって王様を見つめたジオは初めて昼間に獣人化の許可が出たことにワクワクし始めた。変装。町。王様!全部が楽しく聞こえたジオは両手を見つめてから顔を上げて、真っ直ぐウォリックの優しい目を捉えて笑顔を見せた。 「王様と手繋ぐの!」  ジオは言い切るなりウォリックの膝の上に当たり前だと言わんばかりにストンと座る。いつも注意してこれだ。ウォリックはまた内心身悶えてどうしようも無い気持ちになっていた。これはまずい。まずい。コレはネコ、ネコだ。落ち着け。 「ジオ」 「んー、あ、散歩!ネコになるのー」  スルリと長い尻尾で王様の腕を撫で甘えてみてから、ジオは立とうとしてウォリックに引き止められた。 んー?と小首を傾げたジオの鼻先に王様から届いたのは甘噛みとキス。 「んふぅ。王様なの」  仲良しの挨拶だと思っているジオは満足して笑いネコに戻る。  王様の気持ちに気が付くのはまだ先のこと。  気まぐれなジオは、王様のねこ。 「さあ行くか、ジオ」     
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