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このふりしきる雨の中、
もうひとつ
小さな生命体がちかづいてきた。
じっとこちらを見ている。
この生命体は
比較的、若いものだろうか。
そして、その顔にも表情がなかった。
MIRAIJIN は、
その小さな生命体に話しかけようと思ったが、
その表情のない顔が
少しぬれているのに気がついた。
この雨によるものではなく、
その表情のない目から出ているものだ。
あれは、
何だったか、
たしか、
ずいぶん大昔に
見たような気がする。
あれは、
何というものだったか。
とにかく、
テンションが低い時のもの、
ではなかったか。
MIRAIJIN は、
それが何か思い出せなかったが、
何か理由があるような気がしたので、
その小さな生命体に
質問してみた。
「あなたは、何を、して、いますか?」
「あなたの、顔には、何が、流れて、いますか?」
すると、
その小さな生命体は、
少し驚いたような表情になり、
こう答えた。
「あなたはこれを知らないのですね、お気の毒に」
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わたしはそれが何か知っている。
ずいぶん大昔にあったようだが、
いまはないものだ。
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