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俺はそんなことを言いながらシリアルをかき込んで夜勤のコンビニバイトに出勤していた。当時の俺は大学を卒業したのはいいが、就職活動に失敗しどこかの企業の正社員になることなく、夜勤のコンビニバイトで生計を立てていた。世間一般のイメージでは、夜勤というものは身体的にも精神的にも辛いと思われているが、三ヶ月もすれば昼夜逆転の生活なんてすぐに慣れる。
問題は精神面での方だ。夜間のコンビニには様々な人間が来る。チンピラから訳の分からないことを言うおかしな客。まったくこちらに非がないのに怒鳴り散らす老人等々、そこは間違いなくサービス業の最底辺といえる場所だった。しかし元より根暗で引っ込み思案な俺にとって、普通に昼間に働くよりも、三日に一度訪れる訳の分からない客を相手にしている方がマシだと思えたのだ。
俺はそこで数年間働いていた。労働環境はまさにブラック。休憩時間はないし残業代も出ない所だった。フランチャイズというのもあったが、労働環境を本社のマネージャーにいっても『それはオーナー様との契約の話になりますから』といって逃げられるばかりだった。
俺の精神はどんどん腐っていった。接客業だというのに笑顔はなく、ただ淡々とレジに来る客の商品をスキャンする毎日。しかし仕事は山積みだった。売り上げ予測、発注、在庫管理、免許品の管理、頭がアレな客の対応。毎日がサービス残業だった。休憩時間を削って働いてる時間も合わせれば、時給は昼のコンビニバイトよりも安かった。
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