俺と小説とSNS

一年を振り返る

　そんな俺の唯一の気晴らしが、ネットサーフィンをする事だった。昼夜逆転の生活をしている人間は、次の日が仕事だと外に出歩くことが出来ない人が多い。どの商業施設もだいたいが十時開店だからだ。夜勤の人間にとってその時間は布団に入って就寝する時間だろう。

　俺も例外ではなく、その時間には就寝していた。なので数年間は職場と自宅を本当にただ往復するだけの毎日を送っていたことになる。生活必需品や衣類なんかは全て二十四時間営業のスーパーかインターネット通販で済ませていた。普段の私生活には出てこなかったが、かなりストレスが溜まっていたのだろう。インターネット上の掲示板に書き込まれる過激な文章にそうだそうだと賛同して悦に入ったりもしていた。

　そんなある時、普段から巡回しているインターネットサイトを見るのに飽きが来た。何かもっと面白い話はないのか。お前等もっと面白いこと書き込めよ、と内心で愚痴りながらマウスホイールをころころ転がしていると、画面右端に逆アクセスランキングなるリンク集が目に留まった。

「たまには新規開拓も良いかもしれないな」

　俺はパソコンの画面にそう独り言を投げながらマウスカーソルを適当にリンクアドレスに合わせてクリックした。

　アクセスしたそのサイトは小説投稿サイトの情報交換サイトだった。誰々の書いた小説が面白いだの、あの小説が書籍化するだのしただのと、賞賛や嫉妬、情報交換等が入り乱れ、大層な賑わいをみせていた。